「大学院での勉強や研究で茨木市にどんな成果がでているの?」と、多くの問い合わせをいただきました。
現在も多くの地域で地域医療崩壊が行政課題として取りあげられていますが、医療問題は都道府県の所管業務であり市町村は関与しないとの考え方があり、一般市や特例市のほとんどは行政組織として保健所(茨木保健所は大阪府の管轄)や医療政策担当部門をもたず、都道府県のデータを利用して医療資源の過不足を判断してきました。本市も特例市かつ市民病院がないため、行政組織として保健所や医療政策担当部門や専門職員がいない状況であり、議員就任当初は、議会質疑においても行政側の答弁は都道府県のデータを根拠に、「医療資源は不足していない」と判断し、行政課題として扱っていませんでした。
しかしながら、市議会議員でも地域医療を守る取り組みはできるはずとの思いで、
等、地域医療への負担を少しでも減らし、市民の不安が少しでも軽減される医療環境作りを議会内外において取り組んできました。
そんな中、8年前に変化がでてきました。
についても議会提案することで、市民病院を持たない特例市では初の医療政策係を設置や健康医療推進分科会という地域医療について話し合う対話の場の設置が実現しました。また全国初の2次救急病院支援制度を含む、本市の民間病院への補助金の創設にも至りました。
しかしながら、地域医療を考える際に一番大切な問題点が残っていることに気付きました。それは、今までの取り組みは大きな木の枝葉の部分であり、幹の部分の議論ができていなかったことです。そこで、地域医療を大きな視点で論じるために大学院で勉強、研究したのが、地域医療資源分析を用いることでした。
2017年3月議会において、地域医療資源分析の手法、必要性を紹介し、その後、自身が大学院で習得したスキルを職員と共有し、どのように解析すれば良いか等の話し合いを続けました。そして2018年3月議会において地域医療資源分析についての予算を行政側から提案があり、大阪大学医学部との共同にて分析を行うことが決定しました。その後、2019年3月に全国初の茨木市地域医療資源調査分析報告書が完成し、この報告書をもとに2020年6月議会において阪急茨木市駅前における民間病院誘致調査予算が計上されることに至りました。
この取り組みは、先行事例や研究がなく、今まで誰も取り組んでいない状況で本当に大変でありましたが、職員と一緒に議論をし、作り上げていくことで、市議会議員ではできないと言われ、長年かかった課題と大きな壁を乗り越えられたと考えています。今後は、より細かな分析にてどのような病院を誘致し、地域医療を再構築していくのか、皆様の移動手段を含めて多角的な観点から分析をし、皆様の福祉向上と医療への満足に繋げていきたいと考えます。