塚理の想い  vol.2 塚理のひとり言3

■塚理のひとり言2


これからの塚の公約や挑戦はホームページや新聞にて今まで以上に発信してまいります。

●彩都中部・東部地区開発と安威川ダム建設への政策マーケティングの導入と公開討論会(情報公開と説明責任)の必要性。

 大阪維新プログラムが6月上旬に発表されました。中身を読み、府知事の改革への姿勢には改めて評価を致しました。
 一方で、大阪維新プログラムは知事の思い入れの強弱によりメスが鋭い部分も見受けられます。私は特に小さな部分でのメスがたくさん入っているけれども、大きな部分にはあまりメスが入っていないように感じました。
…と言いますのは、私たちの街のことで特に注目をしておりました安威川ダムと彩都開発についてです。

 私は安威川ダムが建設される地元で生まれ、議員として選出され、経過を見てきました。しかし、経済状況や社会の状況が変化する中で市民の皆さん声が変わってきていることも感じています。
 例えば目の当たりにしてきた安威川ダムに対する地域住民の皆さんの態度です。今回、府知事が就任されてから大阪府の大変な状態を理解し、PT案が出た際には「仕方ない。我慢しよう。」との声も多くでました。
以前は規模の縮小や中止の話がでた際には地元から反発の意見も多くでました。しかし、今回、府知事の声を聞き、地元でも「規模の縮小や予算削減は当たり前だろう。」との声がでてきており、私も正直驚いています。
 また先日、市民有志の方々が各方面の有識者を招いて、安威川ダムシンポジウムを開催しました。まず「ダム反対」「規模縮小」ありきではなく、中立の立場で色々な情報をもとに再度判断をしようという趣旨でしたので私も参加させていただきました。私はこのような中立的立場で話し合いをする会であれば、もっと多くの市民の皆さんに参加いただきたかったのが本音です。

 さて、従来の行政からの報告を簡単にまとめると、安威川ダムはこのような計画です。

▲昭和42年の大雨により安威川が氾濫、多くの被害をもたらした。
100年に一度の水害から命と生活を守るためにダムが必要との判断に至る。昭和51年から様々な調査をしながら計画を実施中。
現在の計画では1時間に80ミリの雨が降っても水害が起きないための治水ダムと一日1万トンの水を産み出すための利水ダムの2つの機能を併設。ダム本体と河川改修などの事業に約1300億円の事業費を計上している。

この計画で、今回のシンポジウムにて「目から鱗が落ちる」新しい情報が3点ありました。

 ?日本全国の河川を調査されている有識者から、現在の安威川は1時間80ミリの雨
   量でも数時間耐えられるような河川改修や堤防補強がされている、素晴らしい川で
   あるとの分析。
 ?利水について調査されている方からは、大阪府と大阪市の水道統合の話をもとに
   大阪全体で一日数十万トン水余りの状態であるのに一日1万トンの水をさらに安威
   川ダムでつくりだすこと。
   (一日1万トンの水は大阪府の水の量の200分の1にしか満たない。太田前府知
   事は、一日7万トンの水を産み出す予定で1800億円の予算計上をしていたが、2
   年前に財政圧縮と利水の必要性がないことから一日1万トンの利水に削減し、予
   算も500億円削減した。)
 ?府議会議員の方からは、安威川ダムの予算は約1300億円と言われてきたが、現
   在の大阪府の資料では、1300億円+(未定)とのおかしな予算計上がなされて
   いること。これは、利水機能があることで下流の上水道施設建設や諸々の予算で
   あり、プロジェクトの総合計金額は約2000億円の税金投入がされるとの資料説明
   があった。
   (ちなみにダムを完全撤退した場合は撤退負担金が約90億円とのこと。)

 今回参加した約100名の市民の皆さんからは「話しが矛盾している。」「おかしい。」との声が多く出ていました。

 私も、現在、大学院にて事業分析や事業評価について勉強をしております。
今回の安威川ダムの分析シートは残念ながら納得のいく分析がなされているとは感じられませんでした。特に損失部分の主観的内容において、府知事が就任されてからの現場でヒアリングした声なのか定かではない状態と見受けます。

 私は街頭演説時に多くの市民の皆さんから地元市民の声を知事に聞いて欲しいとの声を今もいただきます。確かに声を聞くのは地元茨木市の仕事でもありますが、事業に対して判断をする府にも今一度、現場での政策マーケティングを是非導入し、再度地元住民や地元市民の声も聞いた上で「続行なのか」「治水のみや規模の縮小なのか」などの判断をすべきと考えます。
 また、彩都においてはUR(都市再生機構)の発表後、約40名近くの西部地区の住民の皆さんにお話を聞くと、「東部・中部地区を青写真のないまま開発するのはおかしい。」「時代を考えて、一時凍結でもかまわないのでは。」という意見も多く出ていました。

さて、従来の報告を簡単にまとめると、彩都開発はこのような計画です。

▲彩都開発―約3600億円の大型ニュータウン開発。
1987年に計画され、UR(都市再生機構)と民間企業が主に開発をおこなう。約5万人を想定したニュータウンであり、現在人口は約5千人。街づくりのコンセプトとして医薬・生命・製薬の基盤を目指した。
しかし、神戸市にも同様の先端医療地域ができ、京阪奈地区にも学研都市ができ、企業誘致は困難な状態になった。製薬においては、ゲノム研究は筑波学研都市にすでに集約されていることから大企業の進出は困難と考えられる。
現在の企業誘致実績は、神戸市は100社以上にて成功との声が高いが、彩都は30社にて出遅れ感がある。約2年前の中部地区への武田薬品工業誘致の話が潰れてから青写真がなかなか描けていない状態である。

私は、景気や経済状況をみた上で、青写真が描けるまでは、西部地区をきっちりインフラ整備すればいいのではないかと考えます。そして、ここにおいてもマーケティングが必要と考えます。住民に対する政策マーケティングをおこない、意見を集めた上で、市民で公開討論会を実施する。民間企業が撤退を口にする中での行政のみの事業推進は地元住民、市民に対しての具体的案の提示と説明責任が必要ではないでしょうか。
私は、このプロセス抜きでは、真に市民との協働参画という言葉は実現しないと考えます。
 そしてその上でもし、開発推進を考えるのであれば、創薬・医薬基盤のコンセプトにこだわらない方がよいのではないかと個人的に考えています。
…と言いますのは、私は以前、製薬会社に勤務し現在も製薬会社とよく話しをします。議員の際には、府や市の職員の方だけにまかせるのではなく、私自身でも「彩都」を売り込みに歩かせていただいていました。
しかし、返ってくる生の声は「筑波に研究所を集積したり、神戸があるから…」との声が現状でした。

 私は創薬・医薬基盤のコンセプトよりも地の利を活かした、「環境・アグリビジネス」や、これからの「介護テクノロジービジネス」のコンセプトなどへのコンセプト変更も必要であると考えます。


●商店街の活性化は農業、寺社と一緒の要因あり

 私は大学院にて街づくりの勉強もしてきました。
研究をしている中で、街づくりには大きな共通点があることがわかりました。それは、現在全国的に問題になっている商店街の空洞化です。実は、この問題は農業問題と非常に似ているのです。
また、この農業は寺社とビジネスモデルが非常に似ているのです。これらを併せると、この中に1つでも成功モデルが見つかれば、商店街の空洞化に歯止めをかけることができるのではないでしょうか。

 私は研究を始め、商店街の空洞化要因の後継ぎ問題や借地権の問題(土地をもっている人とその土地で商売をしている人が異なる場合、なかなか両者のマッチングがうまくいかず、結果としてシャッター通りができてしまう。)は農業と共通していることに気付きました。
 そして商店街問題と農業問題を考えているうちに土地や空間の価値について考えるようになりました。
当初、当たり前に、農地は農家のものであると考えていました。しかしそうではなく、現在、農地は、皆のものとして考える傾向になりつつあり、景観などの環境保全に対しても皆で保全していこうと注目されていることがわかりました。
では、農地と同じように公共性をもち、同じような役割と価値を併せもつ空間モデルを考えてみると、それは寺社に辿り着いたのです。

 寺社は都市の中にある状態で資産、教育、環境、癒しなど多くの役割と価値を併せ持ち、農地と類似しています。
例えば、寺社は農業と同様の経営形態で専業、兼業が存在します。兼業は農業と同じく素人の個人経営と同様で兼職からの収支で生活している状態。また、人手が足りないときの助け合いなど経営形態も似ています。
そして税制優遇措置は、形は異なるが寺社、農業とも存在します。現在課題になっている後継ぎ問題も共通しており、寺社では廃寺、廃社。農業では耕作放棄地が存在する状態です。

 しかし決定的に異なるのは、寺社は既存の価値からの転換をおこない、改革をおこなってきたことである。例えば元々寺院は教育施設であり、地域のNPO的存在でした。
しかし、近代になり寺院の業では生計が成り立たなくなったことにより葬儀や檀家制度などによる経営へとシフトしていった歴史があります。最近では幼稚園経営だけでなく娯楽や癒しなどの分野でも多機能的な経営をおこなっています。農業も商店街もこれら寺院の経営に学ぶことが多いのではないかと考えています。
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